小田中地区にも在った“仲見世”

    小田中地区にも在った“仲見世”

 町会員の三井住友銀行武蔵中原支店(1丁目20-2)には、地元のご縁で町会口座も持ちますが、令和2年10月末で武蔵小杉に移転されました。
 さて、この元支店所在地にまつわる逸話が、地元郷土史家・内藤直作さん(2丁目)の著作に載っていますので紹介します。
大正初期のこと、中原村内夫婦の夢枕に地蔵菩薩が立ち「私は水田に埋もれて苦しんでいる、早く救い出してほしい。」とお告げされたので、掘ると地蔵菩薩像が出現しました。その水田が支店所在地だったのです。
像は地主さんの菩提寺、長福寺(上小田中6丁目)にお祀りされました。
 それ以降、米は豊作、夢見夫婦の病が全快したと言い、村中これは真の開運地蔵として崇め、更に噂が近郷に拡がって参詣者で大賑わいになりました。
 大正5年(1916年)頃には、門前の水田を埋めて饅頭屋・そば屋・団子屋等が軒を連ね、植木市が開かれ、遂には芝居小屋まで建ち、長福寺も本堂で和讃(仏教歌唱)や講釈師の左衛門語り(説教節大道芸)を催し人気を博しました。
 この話、隅田川から漁師が引き上げた観音菩薩像を祀った浅草寺と仲見世の賑わいを彷彿とさせますね。
しかし、残念ながら時とともに客足が減って門前街も自然衰退し、関東大震災(1923年)で町民が寺に避難したとき、地蔵尊に香華はもう上がって無かったそうです。
先日私は、寺の門を入って左手に建つ開運地蔵尊(写真)に参拝して、足腰の衰え防止・フレイル予防をお願いして参りました。      (仙人手)


2021年07月23日